新人として接客をしているのであれば、OJT研修者が細かくチェックをしてくれて、自分も気づいていないレベルのフィードバックをしてくれることがあります。
しかし、新人の時期を過ぎると、めったなことがない限り、社内からフィードバックをもらえることはなくなり、ではどこからもらうのかというと、お客様からいただくことになります。
プラスのフィードバックならまだしも、マイナスのフィードバックをお客様からいただいてしまう、つまりクレームですが、これは避けなければいけません。
コールセンターであれば、時間をみつけて、自分の応対履歴(音声)を振り返ることができます。一挙手一投足、「てにをは」レベルから徹底的にチェックし、次につなげていくことができます。ベテランであっても、たまに受電フォローのために受電をした際、やはりアラが見えるものです。この点が、コールセンター業務に従事していて、良いところ、スキルアップという点で非常に手がつけやすいところです。
対面の接客における無意識の改善すべき(または、すべきとまでは言わないけれども、改善するとよりレベルの高い接客サービスを提供できると考えられるような)行動は、やはり第三者の視点により明るみになる、明るみにする以外方法はないのではないかと思います。
私は客として店舗などを利用する際に、喉元まで「こうできたらもっと素敵だと思いますよ」などという完全におせっかいなことが上がってくることがしょっちゅうなのですが、最近そのような場面(2場面)に遭遇し思ったことがありましたので、ここに書きます。
①商品が並んでいる前の狭い通路を、店舗スタッフが通る必要があるときに、すでにそこにいらっしゃるお客様との接し方
お客様の後ろに、自身が通るスペースが確保できるようであれば、商品をお選びになっているお客様の邪魔にならないように、静かに「いらっしゃいませ。後ろを失礼いたします」などと声をかけ、すみやかに通り抜ける行動が正解だと考えます。
ただし、お客様の方が気遣ってくださり、通路をあけて(お客様が1歩後ろにさがられ、ご自身の前をとおるように促された)くださった場合はどうでしょうか。
私がこのシチュエーションに遭遇したわけなのですが、私は無言で、私の前を通ってもらえるようにアイコンタクトと1歩後ろにさがる行動とで店舗スタッフに見せたつもりでしたが、店舗スタッフは無言でその場に立ち止まり、どうしても私の後ろを通ろうと私が再度前方に1歩出るのを待っている様子でした。であればと思い、私が前方に1歩出て後ろをあけ、後ろを通ってもらったわけなのですが(「失礼いたします」という声とともに後ろを通り抜けて行かれました)、これは店舗スタッフと客という立場を抜きにしても、どちらかが善意で積極的に譲る姿勢を見せられた場合には、すばやくキャッチして、感謝とともに、そのような譲り譲られるという場面の時間を1秒でも短くすることがお互いにとってメリットが高いと考えます。もしかしたら私の「譲ります」の姿勢、行動がわかり辛かったのかもしれませんが、逆の立場であれば素早くキャッチし、「大変申し訳ございません、失礼いたします」「ありがとうございます」などとお詫びとお礼の言葉を伝えながら、お客様の目線よりもぐっと下になるように低姿勢を作って速やかにお客様の前方を通り抜けたいところです。お客様の善意を素直に受け取ることも、マナーであり接客であると考えます。
②金銭の受け渡し用のトレー内での手指のマナー
コロナウイルス感染拡大の時を経て、金銭の授受の際にはトレーを使用するという傾向が強くなりました。
支払う際に、お客様がトレー内に小銭を入れた後で、過不足はないかどうかをトレー内で数えようとなさり再度トレー内に指を伸ばされた際に、さっとトレーを引いてしまう行動というのが失礼に値することは、想像しやすいことかと思います。
ただし、たとえばお客様がトレーに手をのばされた瞬間と、接客する自身がトレーをさげようとした瞬間が絶妙に重なった、そういうこともあると思います。
そういうときに、瞬時に「大変失礼いたしました」というお詫びと、再度トレーをお客様側に戻す、差し出すという行動ができるかどうかだと思います。
若い男性のスタッフとのあいだで、そういう場面に出くわしました。トレーを下げられた際に、客である私の方が気まずい思いをしましたので、「足りていますか?」と聞いたのですが、彼は表情も変えずに「はい、大丈夫です」と返しましたので、気まずさは感じていなかったのか、もしくは感じていたけれども、何事もなかったかのようにふるまったのか、どちらかであろうと思います。
気まずさや不快、不愉快な気持ちというのを、お客様には持たせないようにすることが接客の基本です。気まずさや不快、不愉快な気持ちを持たせることもある、それは仕方がないことだと、はなから接客する側が決めて(あきらめて)かかっては元も子もないことです。お客様とのいろいろなやりとりの中で、個別具体的に振り返ってみて、仕方がなかったよね、ということはあると思います。繰り返しになりますが、はじめから、接客に対してあきらめる(お客様にも我慢してもらう)ことを前提として販売やサービスを行うと、やはりそれなりの成果(業績)が伴ってくるものだと思うのです。
以上の2点、大変細かい話で、「そこまで気にしてどうする!」と思われるかもしれませんが、これは接客のスキルをあげていくことを前提として考えたときに、よりよい接客、応対とは何だろうということを考え行動したい、ということをお伝えしたかったまでです!取り越し苦労であれば、それはそれでよいのです。
また、上にも書きましたが、結局のところ、これは接客の場面だけに限った話ではなく、要は立場がどうであれ、人と人とがそのような場面に立ち会った際に、どうふるまうと「思いやり」の行動として相手に伝わるか、ということだと思っています。
ああ、気遣いのできるスタッフさんが働いているなあ、良い雰囲気だなあ、とても良い気分で過ごせるなあと思ってもらうためには、さまざまなシチュエーションにおいて、どのような行動がベストまたはベターなのかを細かく考えて、行動に移していくこと。
私も日々の接客、応対を振り返り、さらに磨いていきたいと考えています!